23.06.2005 左右の手の内の働きと、的中への影響について弓道に於いても、武道一般に用いられている 型が非常に重要である。 これは射法八節に加え、静的バランスであ る三重の十文字と、動的バランスである五 重の十文字、更に三位一体(弓・身体・精 神)のバランスが取れると秘中すると言わ れている。 しかし、実際は会から残身にかけて僅かな ズレが生じるために、中る矢が外れてしま う場合が多い。 ほとんどの弓道関連書籍には、左手の手の 内の働きが的中に影響を与えるとの記載が 多く見られるが、右手の内についてはほと んど記載が無い。右手は果たして的中への 影響は無いのであろうか? 会の状態で、矢が的に乗っており、全ての 力のバランスが合っている場合は、その状 態で離れると的中は可能である。弦が右手 親指から放れてから、矢が弦から放たれる 時間は、約 0.15秒と言われており、この間に 左手が大きく動く事はほぼ困難である。矢 は弓の右側に固定されており、筈の位置・ 或いは筈の向きが変化すると、矢先は的か ら外れてしまう。 上記の図 1 の様に左手のズレが原因となって 弓が左右・上下動いた場合は、当然の事で あるが、矢所も変化する。図 2 の様に右手の捻り過ぎにより、筈が弓の内 側に向いた場合は埜しないの原因となり、 矢先は発射後的の後方へ進む。或いは右手 首が内側に折れている場合は矢口が弓の外 側に空き、よって矢先は的の前方へ進む。 図 3 の様に離れの瞬間に右手の親指の位置に 変化があった場合にも矢所に影響を与える。 右手の内の働きは重要で、筈の位置を変え ず弦を払うように働く。この働きが悪い場 合は、筈の位置が弦が戻っていく線に対し てズレを起こすために、矢は横方向へ振動 しながら飛んでいく。握った指を開くと、 右親指がやや的方向へ戻りながら弦が抜け るために、矢尺が相対的に小さくなり、矢 所に影響を与える。 左手の内は、矢先を動かさない事が重要で あり、中押しの手の内が重要である。この 働きが悪い場合は、弓の上下の復元時間に 大きな影響を与え、弦に大きな波が発つ事 から、矢は縦方向へ振動しながら飛んでい く。手の内の働きによって、弦が矢を推す 距離が増すことから、矢の速度は増加する 。即ち矢の発射速度に直接影響する。 このことから、右手の内も左手の内と同様 に矢筋に働いていなければならず、どの位 置で離れても矢先・筈の位置が変化しない 事が的中に結びつく。伸会い時には身体全 体の総合力が、両手の内に同一で働く事が 重要である。 |