2023年欧州講習会において

この度は2019年からコロナによって中止されていた国際弓道連盟主催の欧州講習会がフランスのパリ近郊のNoisiel市の弓道場で開催された。主任講師は加藤先生範士8段、国際弓道連盟会長の宇佐美先生範士9段がセミナー後に開催される昇段審査(3段から5段まで)指導ということで派遣された。今回はセミナーでの主なテーマと個人的に感じたことを記載したい。

加藤講師による重要点

1.大三での注意点は2つ、①矢束は半分以内にとどめること、②弦かかりは顔の前面に置くこと。(個人によっても理想の位置は違う)

2.弓構えの注意点2つ、①右手で弦を取る際は一旦筈まで運び手首を矢の延長線上にそろえた後取りかけを行う。(会での最終形の位置で取りかけする)、②左手で弓を持つ際は左手首をやや外へ曲げて天文筋が弓の外竹左に当たるように手の内を整える。

3.大三での手の内の注意点は5つ、①左手を弓に対してYの字にあてがう、②親指の付け根(指と手首の間・第一中手骨)をできるだけ弓に対して真っすぐ(直角)に保つ、③手首の骨(尺骨と橈骨)を縦に重ねる、④親指と人差し指が水平(ペンが乗って落ちない状態)、 ⑤弓が掌根で3分の2程度かぶさる。(外竹が天文筋によく当たっていること)

個人的な射術の修正点

打ち起こしで羽引きが広がる。左腕の無駄な力を抜く。

大三で引きすぎる、右手首に力がはいっている。矢の延長という気持ちで押手に右手首を引かせる。(幽霊のように手首をぶら下がった状態で引き分ける)同時に上腕、肩甲骨の周りも脱力して弓の力が押手首と勝手肘で感じられるようにバランスをとる。

引き初めは右肘リードで目通りを超えるあたりから両脇を使って体の重みを弓に伝える(体を弓に割り込む)会に入るまでは相応の力で引き分け引き分け後半で伸びてしまわないように気を付ける。

会では両手首(矢)と両鎖骨(肩の線)が弓の力で平行に重なるように伸びる、両肩甲骨を前面に押し出し(体全体が弓へ入る)弓の右側の張力を使って離れを誘発する。

総括、力で修正すると力みが生じ、外からみた形は修正できても身体的なバランスにはつながりにくい。修正は余計な力を抜いて身体全体で修正された点を感じられるようにしなければならない。

その他学んだこと

弓を執っての入退場では上座に意を注いで礼または揖を行うが、それ以外に射場から控えの間での移動では礼または揖の必要はない。射場係で替弓等行う場合も入退場で礼は行わない。

射場へ入場するときは場に対しての礼、定めの座では脇正面(上座・または上座にいる人)に対しての礼、本座では的に対しての礼であるため時と場合に応じて気持ちを込める必要がある。

射手が立射で矢渡しを行う場合は両介添えも定めの座では立ったまま脇正面に対し礼を行う。

第二介添えの座する位置はおおよそ的と左の壁を3つに割った壁から3分の1の位置とする。(的場の広さによっても違う)